干からびた海藻
一昨日気絶して、昨日はダラダラして日がな過ごす。
今日も契約がどうなるかわからないので、待機している。
暇なので、また海を見に行く。
昨日と同じ流木に腰変えて、気分は詩人。命について考えざるを得ない。
伊勢まで来て、死を覚悟した。あ、僕死ぬのかもって恐怖した。怖くて怖くて堪らなかった。
同時に生きたいんだって思った。
世の中は人の想いと確率でできていて、そのタイミングにバッティングしただけなのだろうけど、弱い僕はその意味をその意図を感じずにはいられない。
明日も健康で思った通りの日が容易く来ると信じていた。なのに簡単に身体と日常は壊れゆくんだって、神様に告げられた気持ち。
干からびた海藻が、流木の近くに落ちていて、触るとパキパキする。なみなみとうねったその形は命を感じる。
海藻には海藻の矜持があって、きっと海の中でもっと漂ってプランクトンを食べたかったろう。海藻。
ゴールデンウィークの端役は、ちぎれちぎれになって、足元から寂寥たる僕を見つめる。
この海藻は僕だ。海から要らないって干上げられて、せめて人目のあるところに落ちたひとひらの屑。
誰も見てないし、気付かない。永遠の孤独。
朽ちるまで細かい砂利の上に横たわるだけ。
たったそれだけのことに、悲しんで騒ぎ立てるのが人で、黙っているのが海藻。
無意味なものに良き悪しも無いのに、色眼鏡をかけた自虐の化け物が人間。
富も成功も要らないって思えば獣化は収まるのか。
自尊心じゃない何かが決定的に足らない。心の塞がらない穴が、ここにいるって唸る。
人間なんだ、僕。下らない人間で、欲深い人間。
そうこうしている間に、雇用元から帰っていいよと電話が来た。
最後は、担当者と握手して別れる。人間の矜持。ここで乱れたら、相手が傷ついて、それで僕も傷つく。
帰りも全部自由席。