カレーの海
最近、FireStickでAbemaNewsを見ている。最近のニュースは感情がむき出しのものが多くて、見ているとしんどくなっちゃうことが多いけど、この番組は専門外の質問をされて困る人も、お茶の間に媚びたい芸能人もいないから見易い。
今日は、仏教についてあれこれ論議していた。その中でお笑い芸人が万物は全てが溶け込んだドロドロになったカレーからできていて、命も机もカメラもそれをすくっただけのものである、と。
死ぬことはその穴が開いているそのお玉の中身が空になることだと。
この人だ。笑い飯の哲夫さん。哲学の「哲」が名前に入っていて、仏教好きって良いね。恐らく親も哲学とか宗教とかが好きで、それを恥ずかしがらずに息子の名前に付けるって羨ましい。僕も好きだから、その様相をイメージして、なんかニコニコしちゃう。
要は、所詮同じカレー出身のものしかいないんだから、貴賤も良し悪しも何もない諸行無常だよと。
何事も移ろいゆくから、ジタバタしたってしょうがないよってことなんだろうけど、僕はジタバタしたい。カレーの入ったお玉が雲散霧消して、元のカレーの海に戻っていくのが分かっているから。タイムリミットがあるから。
このお玉の中身に生まれた矜持を僕はやっぱり持っていて、「俺はこのお玉だ～～！！」って大声で言いたい。他のお玉がほぼ同じ内容だったとしても、俺のには人参がこんなに多く入っているんだぜ、って叫びたい。
無職の僕が、一日を良い日だったって思うにはコツがある。ひとつはブログを更新したどうか。更新出来たらオッケーって自分に言い聞かせる。それだけだと心もとないから、もう一個作った。それはもがいたかどうか。一日の中で、今を生きることと、これからの僕のために何でもいいから一生懸命にジタバタできたかどうか。実際には一歩も家の外に出なくても、思考でジタバタしたのもOK。
それだけのことを必死でやってる。
きっと、欲にまみれていて感情がむき出しの僕は、仏教徒からすると掃除すらさせてもらえないレベルだと思う。まず、正座を家で出来るようになってからだな、って諭されるくらい。
けど、お玉のカレーも犬も猫も、感情とか情動が一番大事なんじゃないかって思う。むかついたって思うことは真実で、それだけのこと。
結局、表し方とか、バランス論になるのか。感情を表してケンカするのは消耗する。消耗するのは本意じゃない。だから先を見越して感情を抑えるのか。
その経緯が大事だよね。うん。
僕の妻は元からそれが無かったかのように振舞っているから嫌い。
やっぱり嫌いなんだ僕。好きだから怒るのかなって思っていたけど、感情の経緯を大事にしている人が好きでその逆なんだ。
何を差し置いても、その苦しみとか愛情とか感情を表現することが一番大事だって思う。
苦しみなどその感情を大事にしているから無視する人(妻）と、大事にしているから直視する人(僕）っていう差。
直視することは、言語化してこの苦しみとどう立ち向かっていくことかそれをジタバタジタバタもがいていくこと。それが僕の人生であって矜持。
妻は、もがかないから苦しまないし、言葉もない。
近いようで、真逆。近いが故の真逆。
同じ命を食べているっていうくくりでは同じなのに、ベジタリアンとミートイーターが逆と思ってしまうのと一緒。
正直に言うと、妻が羨ましい部分がある。きっと苦しくないんだろうなって。だからこの怒りに似た感情は嫉妬が入っている。それに、これだけ一緒にいるんだからこの僕を理解してくれよ、付き合ってくれよっていう甘えもある。
更に言うと、寂しさがある。なんで僕は1人なんだろうって。こういう風に生きているのは僕だけなんだろうかって、世界の中にいて断絶された孤独感がある。
今は1人だけど、仲間が欲しい。苦しみを直視してきた(している）人での仲間が欲しい。傷を舐め合いたいんじゃなくて、苦しみを真っ向から受け止めて打開していこう、そしてそれを社会に波及させていこうって思っている仲間が欲しい。
きっと彼女は優しいから、僕の仲間にはなれないんだよってストレートには言ってくれない。僕は仲間でしょ、仲間でしょってずっと片思いし続けて理解しない。
僕はベジタリアンで彼女はミートイーター。人が勝手に作った住み分けで、勝手に苦しんで勝手に散り散りになる。人は勝手だし、僕は人よりもっと勝手。自覚はある。
それでも僕は苦しみと一緒に生きていくことを選ぼうと思う。自分に正直にいるために、未だ見えていない誰かのために、神には額づかないけど自分にとっての正しさには額づくから。
だから、自分にいつも言う。苦しみからの逃れるやり方や安心の仕方が人それぞれに違うだけ。もとを辿ればみんな一緒。って思っている。今日からはみんなカレー出身。
だから、間違ってもいないし、孤独じゃない。
